カーボンニュートラル。聞こえはいいが、それで国が貧しくなっては本末転倒である。電気自動車、太陽光パネル、風力発電。「脱炭素」という世界的な潮流に追随して、富み栄えるのは中国ばかり。ならば、日出づる国から昇った技術力という“日”が傾く先は――。 【写真3枚】この記事の写真を見る ***
日本の政治家がイマイチ盛り上がりに欠ける衆院選に現(うつつ)を抜かしている間隙を縫って、かの国は着々と外堀を埋めようとしている。 8月に中国が核弾頭を搭載することのできる極超音速ミサイルの発射実験を行ったとイギリスのフィナンシャル・タイムズが10月16日付で伝えた。さらに、先月18日には、中国とロシアの艦艇10隻が津軽海峡を通過、日本を半周するような航路をとり、22日に鹿児島県の大隅海峡を東シナ海へと抜けた。 「中国とロシアが緊密に連携しながら、海峡を通過することは珍しい。日本が10月にアメリカ、イギリスなどの空母と共同訓練を行ったことへの示威行動と思われます」(防衛省担当記者) 沖縄県の尖閣諸島では相変わらず、中国海警局の船舶が連日のように航行している。日本への軍事的圧力を強める中国。しかし、日本が警戒すべきはそれだけではない。経済でも覇権を握ろうと歩を進めているのだ。 舞台は「脱炭素」。国際エネルギー機関(IEA)は先月、世界全体で二酸化炭素排出ゼロにするには、年間4兆ドル(約450兆円)の投資が必要だ、と明らかにしている。その巨大市場を巡る神経戦がすでに始まっているのだ。
欧米の要請を中国は拒否
例えば先月30日、ローマで開かれたG20サミットで中国の習近平国家主席は、 「中国は2030年までに二酸化炭素排出量を減少に転じさせ、60年までに実質ゼロにする」 とこれまでも掲げていたいわゆる「3060目標」を改めて表明した。50年までの実質ゼロを標榜するアメリカなどが目標の前倒しを中国に求める中で、それを拒絶した格好である。 「二酸化炭素削減は、世界の排出量の約3割を占める中国が協力しなければ解決できません」 と、『EV(電気自動車)推進の罠』(ワニブックス)の共著者で元内閣官房参与の加藤康子・産業遺産情報センター長が指摘する。 「欧米は中国に削減目標の上方修正を求めていますが、建国100年にあたる2049年までに“中華民族の偉大なる復興”を成し遂げ、強い製造業を作る国家目標『中国製造2025』があるため、中国は応じません。経済を優先する中国に国際社会の枠組みの中でルールを守らせることは難しくなっているのです」 「中国製造2025」は15年に習近平政権により発表された産業政策。製造業強化に向け、10の分野が掲げられており、5Gなどの次世代情報技術やロボット産業などのほか、省エネ・新エネ自動車も含まれている。 中国は世界的な「脱炭素」の先陣を切れないのか。第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が解説する。 「中国はTPPに加盟申請するなど、国際社会での地位向上を狙っています。『3060目標』を打ち出したのは、そうした目的があったためでしょうが、5年に1度の党大会を来年に控えているという事情もあります。これまで党大会の前年は国民の不満を解消するために、経済を意図的に加速させてきました。しかし、今年は国民の不満を緩和するために、不動産価格の抑制と環境対応をせざるを得なくなっています」 ただでさえ、いまの中国は「電力不足」という危機に襲われているのだ。
「脱炭素」で得するのは中国だけ? EVの原材料は中国頼り、550万人の雇用も崩壊(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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