急激な円安の進行で、日本企業への悪影響が目立っている。原材料に輸入品が多い飲食店や食品業界に強い逆風となっているほか、輸出増の恩恵を受けてきた製造業も、輸入原材料の高騰に懸念を強めている。一方、訪日客の増加を見込む観光関連業界では期待の声も上がっている。
「原材料を輸入に頼っているので、これだけ円安になると厳しいよ」
外国為替市場で円相場が1ドル=151円台と約32年ぶりの安値水準を更新した21日、東京都東久留米市でかりんとうを製造する「中谷製菓」の工場長、中谷翔さん(37)は嘆いた。
中谷製菓は小麦粉や食用油などの原材料価格が1年前に比べて約3割上昇した。製造委託を受ける大手メーカーとの取引価格を9月から一部値上げできたものの、「コスト上昇分はまだ転嫁できていない」という。
外食チェーンのリンガーハットの2023年2月期連結決算は、円安に伴う原材料価格の高騰が響き、最終利益が赤字になる見通しだ。佐々野諸延社長は「想定外のことが起きている」と悲鳴を上げる。
円安の影響は、恩恵を被るはずの輸出企業にも広がる。
自動車業界では、円安に伴う輸出増で利益が押し上げられる一方、国内を中心に生産する部品メーカーは原材料高の直撃を受ける。部品大手の担当者は「これ以上円安が進めば、主要素材である樹脂の価格高騰につながり、業績に深刻な影響を及ぼす」と危惧する。
海外事業の多い電機大手では、すでに円安が減益要因となる企業も出ている。NECは4~6月期に、部品調達のコスト上昇と、海外でのドル建て利益の増加の影響を差し引きした結果、5億円分の利益が減った。
あらかじめ決まった為替レートで通貨を交換できるようにする「為替予約」で対応する企業も増えており、三菱UFJ銀行では4~9月の企業との取引(金額ベース)が前年同期比で3割増えた。担当者は「円安が進むにつれて問い合わせが増えた」と話す。
急激な円安の影響、恩恵受けるはずの輸出企業にも拡大…部品調達コストも上昇 - 読売新聞オンライン
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