総務省が9日発表した東京都区部の消費者物価指数の2023年平均(中旬速報値、20年=100)は、価格変動が大きい生鮮食品を除き前年比3・0%上昇の105・0だった。伸び率は22年の2・2%を超え、第2次石油危機の影響で3・3%上昇した1982年以来41年ぶりの大きさとなった。原材料や資源の価格高騰で食料品や日用品に値上げの波が広がり、家計の重荷となった。

東京都区部の指数は全国の先行指標とされ、19日に発表される全国の23年の平均上昇率も3%程度になるとみられる。

一方、東京都区部の23年12月の指数は前年同月比2・1%上昇にとどまり、鈍化傾向が鮮明になった。値上げの動きが落ち着きつつあることが要因だ。第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、全国の上昇率も鈍化傾向をたどると予測し「24年後半に1%台となり、その後も2%は上回らない」とみている。

日銀は、賃金上昇を伴う形で全国の物価上昇率が2%で推移すると見通せれば、大規模な金融緩和策から脱却し、マイナス金利解除などの利上げに踏み出す方針。ただ上昇率の鈍化で難しい判断を迫られそうだ。

東京都区部の23年平均を項目別にみると、生鮮食品を除く食料が8・0%上がり、76年以来47年ぶりの伸び率だった。鶏卵は24・3%、あんパンは13・5%、牛乳は12・2%値上がりした。

家具・家事用品は7・3%、被服および履物は4・6%、宿泊料を含む教養娯楽は4・7%上がった。品目では宿泊料が17・3%と高い上昇率だった。インバウンド(訪日客)の回復や新型コロナウイルス感染症の緩和で旅行需要が高まった。

電気や都市ガス代を含む光熱・水道は6・9%の下落だった。政府による電気・都市ガス代の抑制策が寄与した。(共同)