参院選が22日、公示された。コロナ禍から回復してきた東海地方の経済は、再び雲行きが怪しくなっている。原材料価格の上昇や円安などを受け、飲食、旅行業界などからは活発な議論を求める声が相次いだ。
■マイナス圏
東海財務局がまとめた4~6月期の東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)の景況判断指数は、2四半期連続のマイナスだった。地域経済のけん引役の製造業は、中国・上海のロックダウン(都市封鎖)や世界的な半導体不足、エネルギー価格の高騰が重しとなっている。
企業業績は見通しにくくなっており、東海東京調査センターのまとめでは、愛知、岐阜、三重の3県に本社を置く上場企業161社(トヨタ自動車を除く)のうち、2023年3月期に増益や黒字転換を見込む企業は88社。半数近くは厳しい見通しを示した。
細井克己シニアアナリストは「企業が予想を立てるのは1~2月で、最近の円安や原材料価格の高騰は、織り込めていないのではないか」と指摘し、さらに経営環境が悪化する恐れがあるとしている。
■値上げ
政府は、緊急経済対策を取りまとめ、必要な費用を盛り込んだ22年度補正予算も国会で成立したが、物価高への不満は国民に広がっている。
名古屋市の居酒屋の男性経営者(29)は、「客足はコロナ禍前の半数程度までしか回復していないのに、油や小麦の価格高騰で苦しい状況が続いている」と漏らし、「飲食店の需要喚起策について議論してほしい」と注文をつけた。
東海地方に拠点がある企業や飲食店は、原材料価格が上昇しても、値上げを我慢してきたが、現行価格では吸収しきれなくなっている。食品メーカーは、パンや納豆などの値上げを打ち出しており、あんかけスパゲティ、みそ煮込みうどんなどの「名古屋めし」も値上げが相次いでいる。
エネルギー価格の上昇分が反映される電気やガス料金は、今後さらに上がる見通しだ。消費者の財布のひもが固くなり、地域経済が一層、減速する恐れがある。
■両立
新型コロナウイルスの感染対策と経済活動の両立も、引き続き課題となる。
感染状況が落ち着いたとして、政府は添乗員付きのツアー旅行などの条件付きながら、水際対策で停止していた外国人観光客の入国を再開した。東海地方でも観光関係者が本格的な回復を視野に準備を進めている。
飛騨・高山観光コンベンション協会の堀泰則会長は「足元では観光客も増えてきており、今後、全国の観光地も盛り上がっていくと思う」とし、「国内旅行の振興やインバウンド(訪日客)の受け入れ、観光地の再生などを着実に実行してほしい」と求めた。
東海の景気先行きは? 原材料高など政策問う - 読売新聞オンライン
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