日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)の続投が決まり、自動車各社は温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成などに向けて協調を深める。一方、世界的な半導体不足や東南アジアの新型コロナウイルス流行による部品調達難で落ち込んだ生産の回復が急務となっている。各社の調達力には濃淡があるが、原材料価格の高騰は共通の悩みの種で経営の重荷となる。販売価格に転嫁して値上げに踏み切れば顧客離れにつながりかねず、難しい判断を迫られそうだ。
自動車国内大手8社の令和4年3月期の減産規模は計287万6千台となる見通しだ。
最大手のトヨタは30万台の減産を見込むが、近健太最高財務責任者(CFO)は「(部品不足など)リスクはあるが、相当高いレベルまで生産は回復する」と自信をのぞかせる。
11月は計画比で減産となるものの、過去最高水準の85万~90万台の世界生産を見込む。12月は80万台程度で、7カ月ぶりに国内の全工場が通常稼働する。
対して日産自動車は「10~12月が最も厳しい」(幹部)。ホンダも増産に転じる時期は年明け以降にずれ込む見通しで、市販の半導体を自社製品に活用できるかどうかの検証を始めた。
半導体メーカーにとって、自動車向け製品は高い品質が求められる一方で、市場規模の全体に占める割合はわずか1割程度。供給の優先順位が低くなる傾向があり、量も限られる。
原材料価格の高騰による4年3月期の利益へのマイナス影響幅は、ホンダで2600億円、トヨタで6千億円にまで広がる見込みだ。車体などに使われる鋼板やアルミ材の価格上昇は収益を押し下げ、三菱自動車は1台当たり5万円のコスト増になるとみている。
ただでさえ、電動化や自動運転技術などに投じる研究開発費は膨らんでいる。増産に動けば、下請けを含めた生産現場で人手の確保も課題になる。
各社とも原材料以外の費用削減などで吸収したい考えだが、企業努力にも限界があり、「必要に応じて負担していただくしかない」(大手幹部)との声も出始めている。(宇野貴文)
自動車業界、生産回復が急務 原材料価格高騰重し - SankeiBiz
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