トヨタ系主要13社の2021年4~12月期連結決算が2日、出そろった。11社が最終利益で増益や黒字転換した。一方、22年3月期は部品不足によるトヨタ自動車の減産や、原材料費の高騰が打撃となり、7社が最終利益予想を下方修正した。(中島幸平、藤井竜太郎)
挽回生産進まず
昨年4~12月の売上高は、全社が1~3割の増収となり、コロナ禍からの回復傾向を維持した。
ただ、トヨタは昨年秋以降、コロナ禍による部品不足などで断続的に減産を行っている。世界生産台数は、昨年9月時点で計画していた900万台を下回る見通しだ。部品各社も減産の影響などを通期予想に折り込んだ。
デンソーは最終利益見通しを、従来よりも350億円少ない3010億円に引き下げた。10~12月期でみると、トヨタなどの減産が営業利益を360億円程度押し下げたという。
トヨタ紡織も減産などの影響で、最終利益を100億円少ない370億円に下方修正した。
トヨタの生産について、デンソーの松井靖取締役・経営役員は「増産まではいかず、正常レベルにしかいかなかった」とし、アイシンの伊藤慎太郎副社長も、「(生産は)高水準にあるが、挽回生産は思ったようにいっていない」と述べた。
半導体不足の解消も、時間がかかりそうだ。
松井氏は「22年末頃までは(影響が)続くだろう」との見通しを示した。ジェイテクトの牧野一久取締役・経営役員も「22年上半期は少なくともこの状態。体質強化や競争力をつけるしかない」と強調した。
トヨタ紡織の伊藤嘉浩取締役・執行役員は「足元でコロナが再拡大し、先行きが不透明な状況が予想される」と警戒感を示した。
物流コスト負担
原材料費や物流コストの高騰も、大きな負担となっている。
豊田自動織機は、4~12月期の売上高と営業利益が過去最高を更新した。主力のフォークリフトの売り上げが欧州などで好調だったが、通期予想は据え置いた。鉄やアルミニウムなどの原材料価格の上昇で通期で370億円、物流費で100億円程度のコスト増を見込む。河井康司・経営役員は「売り上げは伸びているが、減益要因の方が大きい」と述べた。
愛知製鋼は通期の最終利益を5億円少ない15億円に下方修正した。鉄スクラップ価格などの高騰が通期の営業利益を350億円引き下げるとしていたが、さらに380億円に拡大する見通しだという。中村元志副社長は、中国での需要拡大などを念頭に「(鉄スクラップの)需要が今からもう少し旺盛になる」と話した。
豊田合成も最終利益などを下方修正した。エアバッグ用のナイロンなどの素材が高騰しているという。
世界的なコンテナ不足を補うため、輸送コストがかさむ航空輸送の利用を余儀なくされるケースもある。アイシンの伊藤副社長は、「材料費以上に物流費の高騰に注意する必要がある」と警戒感を示した。
豊田通商最高益 4~12月期
豊田通商の21年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比29・9%増の5兆7767億円、最終利益は約2倍の1802億円だった。いずれも同期としては過去最高を更新した。自動車生産関連の需要増などで金属の販売が好調だった。アフリカを中心に自動車販売も伸びた。
22年3月期の業績予想は、最終利益を10月時点より、200億円多い2100億円に上方修正した。
トヨタ系7社下方修正 3月期予想 減産・原材料高騰重く - 読売新聞
Read More
No comments:
Post a Comment