新型コロナウイルスの感染再拡大に加え、原材料価格の再値上げや円安急進などに苦悩し、先行きにも明るさを見いだせずにいる中小企業の実態が、城南信用金庫(東京都品川区)と東京新聞の調査で浮かび上がった。参院選の争点になった物価高対策に関して、6割近くが政府に「期待していない」と回答。減税による消費喚起策や、仕入れ価格上昇分の補助などを求める声が出ている。(寺本康弘、大島宏一郎)
◆「電気代高騰で利益出ない」
調査は今月11~13日、城南信金が東京、神奈川両都県の本支店を通じて実施。取引先の中小企業662社から回答を得て、本紙が分析した。
現在の業況を「良い」としたのは8.5%で、「悪い」は53.8%。中長期的な先行きも「良くなる」が16.5%に対し、「悪くなる」は34.9%を占め、4月調査に比べ4.6ポイント増えた。部品不足にもあえぐ製造業や物価高に直面する卸小売業で、悪化を見込む声が他業種よりも多い。
川崎市の居酒屋は「コロナ前に戻りつつあったのに、『第7波』で客足が遠のきつつある」と説明。大田区の水道工事会社は「資材高騰で利益が減り、値上げしたら受注が減った」と苦悩し、品川区の金属部品製造会社は「機械を動かす電気代などの高騰で利益が出ない」と訴えた。
こうした中、政府の物価高対策に対しては「あまり期待していない」との回答が48.3%で最も多く、「まったく期待していない」の10%と合わせて58.3%に上った。「大いに期待」は9.1%、「やや期待」が24%だった。運輸業だけは「期待する」との回答が半数を超えた。
品川区の機械部品製造会社は「電気料金の上昇を抑制する施策を」と語り、大田区の居酒屋は「消費税減税で購買意欲を喚起して」と注文した。品川区の家具輸入会社は「為替損が大きい。円安対策をしっかりして」と求めた。
原材料高に伴う価格転嫁への支援も課題だ。品川区の梱包材製造会社は「価格転嫁しやすい状況にしてほしい」と訴え、神奈川県座間市の生花配送会社は「大手企業などに運賃の値上げを認めるよう働きかけて」と要望した。
◆原料高の「悪影響」82% じわり拡大
城南信用金庫と本紙の中小企業アンケートは、原材料価格の高騰が経営を圧迫し続けている現状を浮き彫りにした。仕入れコストの上昇が収益に対し「深刻な悪影響」(16.1%)と「やや悪影響がある」(66.3%)を合わせて、82.4%が「悪影響がある」と回答。5月の前回調査から3.7ポイント上昇した。政府は物価高対策を打ち出しているが、現場の期待感にはつながっていない。
業種別では、居酒屋など飲食業の9割超が「悪影響がある」と答え、他業種よりも目立った。東京都大田区の鉄板焼き店は「小麦粉、食用油、調味料が値上がりした。今年に入って3回目」と明かした。
コスト増の一方で、中小企業は販売価格への上乗せ(転嫁)に苦慮している。アンケートでも、価格転嫁が「まったくできていない」は全体の8.5%。「ほとんどできていない」「一部できていない」を加えると84.3%に達した。
大田区の居酒屋は「常連客が離れていくのが怖く、なかなか値上げに踏み切れない」と語り、政府にクーポン発行などの消費喚起策を求めた。同区の電気工事会社は「原材料の高騰、および価格引き下げ要請が強く、業況が悪化している」とした。
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