読売新聞は、九州・山口・沖縄の主要100社を対象とした景気アンケートの結果(86社回答)をまとめた。現状の景気を「緩やかに回復」とした割合は49%と半数程度を維持し、新型コロナウイルス禍の緩和を受け、回復基調が続いていることが明らかになった。一方で、原油・原材料価格の高騰に対する懸念が急速に高まっており、景気下押しへの警戒感もくすぶっている。
足元の景気を「急速に回復」と答えた企業はなかったが、「緩やかに回復」は昨年11月の前回調査(51%)並みだった。要因を複数回答で示してもらったところ、「新型コロナの感染者の減少」(71%)、「個人消費の回復」(50%)、「経済活動の本格的な再開」(48%)が目立った。飲食や運輸、百貨店など、人出が戻って業績が回復傾向に向かっている企業が多いことを反映した。
景気が「足踏み」と判断したのは42%で、前回調査と比べ3ポイント減った。「緩やかに悪化」は4ポイント増えて7%、「急速に悪化」も前回のゼロから1%となった。
半年先の景況感については「緩やかに回復」が53%で、回復基調が続くとの見方が大勢を占めた。続いて「足踏み」が33%で、「緩やかに悪化」が5%などだった。
今後の懸念材料を複数回答で挙げてもらったところ、「原油・原材料価格の上昇」が前回調査から30ポイント上昇の92%で最も多かった。前回最多だった「コロナの再拡大」は28ポイント低下の58%となり、ロシアのウクライナ侵略による原油価格などの高騰に気をもむ企業の多さがうかがえた。
急速に進む円安の影響についても尋ねた。円安は「マイナスの影響がある」と答えたのは52%で、「プラスの影響がある」の9%を大きく上回った。円安は輸入品の値上がりにつながるため、コロナ禍から回復に向かいつつある企業の業績を再び押し下げる可能性もある。
政府に期待する政策(複数回答)でも「円安対策」が51%と最多で、「物価高対策」が45%で続いた。ほかに、「企業活動のデジタル化促進」(44%)と「脱炭素化に向けた企業の設備投資支援」(41%)も4割を超える企業が求めた。
アンケートは、上場企業を中心に業種や地域を考慮して対象を選び、おおむね半年ごとに実施している。今回は6月下旬から7月上旬にかけて回答を得た。
円安や原材料価格の上昇を受け、すでに値上げが急速に進んでいる実態も浮き彫りとなった。
各企業に商品やサービスの値上げの状況を尋ねたところ、「2021年度に実施」が8%、「22年度に実施」が14%で、「22年度に予定」も13%だった。すでに値上げを実施した企業が「22年度以降に再度値上げする予定」との回答も含めると、値上げに踏み切る地場企業の割合は42%に達した。食品や燃料費などが上がっている外食や小売り、製造業など、価格転嫁は様々な業種に広がっている。
「当面は価格を維持する」は28%で、価格改定に国の認可などが必要な交通事業者や、影響を受けにくい金融機関といった業種が多かった。
アンケート協力企業
RKB毎日放送▽旭有機材▽イオン九州▽井筒屋▽岩田屋三越▽ウチヤマHD▽梅の花▽エストラスト▽大石産業▽大分銀行▽沖縄電力▽OCHIHD▽キューサイ▽九州電力▽九州FG▽九州リースサービス▽QTnet▽グッデイ▽グリーンクロス▽黒崎播磨▽コーセーアールイー▽コスモス薬品▽西京銀行▽西部ガスHD▽佐賀銀行▽サニックス▽山九▽三和酒類▽JR九州▽ジョイフル▽昭和鉄工▽スターフライヤー▽正興電機製作所▽ゼンリン▽総合メディカル▽ソラシドエア▽第一交通産業▽ダイショー▽高田工業所▽竹下製菓▽力の源HD▽筑邦銀行▽長州産業▽長府製作所▽東ソー▽東武住販▽TOTO▽戸上電機製作所▽トキハ▽トクヤマ▽トヨタ自動車九州▽ナフコ▽南国殖産▽南陽▽西日本シティ銀行▽西日本鉄道▽日本タングステン▽ハウステンボス▽博多大丸▽林兼産業▽ハローデイ▽ハンズマン▽ピエトロ▽久光製薬▽平田機工▽福岡地所▽ふくおかFG▽福岡放送▽プレナス▽ホープ▽マツモト▽丸久▽ミスターマックスHD▽Misumi▽三井ハイテック▽宮崎銀行▽三好不動産▽安川電機▽山形屋▽山口FG▽ヤマシタヘルスケアHD▽リックス▽琉球銀行▽リンガーハット▽ロイヤルHD▽ワールドHD
※50音順、HDはホールディングス、FGはフィナンシャルグループ
景気「緩やか回復」49%…原油・原材料高に懸念も - 読売新聞オンライン
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