日銀が16日発表した昨年12月の国内企業物価指数は前年同月と比べ10.2%上昇し、消費者が購入する商品への価格転嫁も進んでいる。こうした中、百貨店各社のバレンタイン商戦がオンライン先行でスタート。円安などのあおりを受け、チョコレートの価格が上昇するが、購入者の予算は微増にとどまる。各社は比較的安価な商品を取り入れたり、国産食材に着目したりと価格を抑える工夫を凝らす。(並木智子)
◆カカオ豆、砂糖、乳製品が価格上昇 電気代も痛手に
12月の企業物価指数の品目別上昇率で飲食料品は同7.7%増となった。昨年来、食料品の値上げは相次いでおり、帝国データバンクが主要な食品企業を対象にした調査では2022年の値上げは2万822品目。今年は既に約7400品目の値上げが予定されている。
チョコレートの原材料も価格が高騰。中でもカカオ豆の価格は2022年夏以降右肩上がりに上昇。カカオ豆を輸入販売するコンフィテーラ(東京都)によると、主産地のコートジボワールやガーナでの天候不順で供給量が減少したことが要因で、直近のロンドン先物価格は昨年8月と比較し15%高くなっているという。砂糖や乳製品の価格上昇もコスト高に拍車をかけている。
さらに、カカオ豆からチョコレートを製造する過程では高圧で加工するため電気代の影響も大きい。
◆中東や中欧のブランド新登場 コストダウンに四苦八苦
店頭に並ぶ商品の価格の上昇を抑えようと、百貨店は今年はこれまで買い付けていなかった国の商品にも目を向ける。高島屋では今年取り扱う商品に新たに中東のレバノンや中欧チェコのブランドを加えた。海外ブランドは4000円前後が多いというが、レバノンのチョコレートは7個入りで3024円。担当バイヤーの森下由佳子さんは「イランやトルコなどナッツの産地が近く、調達コストも抑えられた」と話す。
同社によると、昨年と比べチョコレートの価格は全体的に10%ほど上昇。一方、一人当たりの購入額は昨年より200円高い7100円を見込む。
◆円安で国産に脚光
輸送コストや円安の影響を抑えられる「国産」の存在感も高まる。松屋銀座に出店する「ユニ マサハル コウヅマ」の上妻正治さんは、ボンボンショコラの味の種となる素材を鹿児島産のキンカンに限定しコストを削減。国内ブランドを昨年より1割増やした。東武百貨店池袋本店も原材料高や輸入コスト高を見込んで、国産ブランドの取り扱いを1.5倍に拡大した。
ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏は「外に出る動きが増しており、来店者数は増えそう。自分へのご褒美としての需要は高い一方で、安価な物への需要もあり、メーカーはできるだけ原材料費を抑えたいと努力している」と話している。
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