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Friday, November 12, 2021

輸入小麦19%値上げ。高騰する原材料価格が製菓・製パン業界に与える影響とコスト対策|フーズチャネル - フーズチャネル

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2021年10月、政府は輸入小麦の製粉会社への販売平均価格を19%値上げした。国際的な需要の高まりや、コロナ禍による物流コストの上昇などが理由とされる。これまでも原材料価格の高騰に左右されてきた製菓・製パン業界にとっては、一段と大きな試練となりそうだ。

そこで今回は、同業界専門のコンサルタント船井総合研究所 田中 渉氏に、製菓・製パンの企業が行うべきコスト対策と仕入れ方法の見直しについて伺った。今、売上確保のために何ができるのかを解説する。

今夏の時点で14業種が値上げを発表

原材料価格の高騰は、今に始まったことではない。2021年の春にも、大豆や小麦など輸入作物の高騰で油や砂糖などが値上げとなり、日本食糧新聞の調査によれば同年6月29日の時点で、食用油やマヨネーズ、家庭用パスタなど少なくとも14種の食品も値上げされている。

原材料の高騰は今後もあらゆる食品に影響を及ぼすとみられ、菓子業界でも流通向けに値上げのアナウンスがあったようだ。製パン業界にとっても今回の輸入小麦価格改定は影響が大きいが、現場からは「安易な値上げには踏み切れない」との声も聞かれる。

田中氏によれば、そもそも製菓・製パン業界には、原材料価格の高騰にかかわらず価格転嫁せざるを得ない背景があったという。

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ライン統括本部 価値向上支援本部
地方創生支援部 食品・観光グループ
製菓・製パンチーム リーダー
田中 渉 氏

「この業界の事業者は、今まで高い原価率と低い人件費を前提としていました。特に製造部門で働いている人は修業的な意味合いも強く、低賃金の長時間労働が当たり前でした。

それがここ数年で働き方改革や、労働基準監督署からの指導もあり、労働環境の部分にもメスが入るようになったのです。

その過程で人件費が上昇し、ただでさえ利益が薄くなっているところへ、小麦やバターなどの原価も上がってきたので、もはや価格転嫁せざるを得ないのが現状なのです」(田中氏 以下、同氏)

消費者の「プチ贅沢」志向を見逃さない

しかし、菓子業界では比較的、価格転嫁がしやすい状況にあるという。

「コロナ禍のステイホームで、ちょっとした贅沢を楽しみたいという『プチ贅沢』への需要が高まっているからです。昨年は高額なケーキなど、洋菓子の売れ行きが好調でした。百貨店は時短営業や休業の影響で売上がふるいませんでしたが、地域の菓子店では『ちょっといいものを食べたい』という消費者の需要を背景に、販売価格を上げていこうという流れがあります」

製菓業界では高額商品だけでなく、低価格のシュークリームなども好調で、「価格が二極化している」。いずれにしても製菓業界では現在、値上げにお客様がついてきている状況なので、まずは新商品や季節商品などから段階的に価格を上げていくべきという。

設備投資で効率化、仕入れ価格は交渉で下げられる

一方、製パン業界でも、全体原価の約3割を占める小麦の影響力は大きく、値上げはせざるを得ない。

「これまでのように人件費を削り、労働環境を悪化させることで原材料価格を吸収するのではなく、いかに利益を上げていくかを考えなければなりません。もし商品の値上げが難しいのであれば、設備投資が重要になってくるでしょう。売上原価の多くは人件費と原材料費ですから、原材料費が上がって人件費も削れないとなると、機械化で間接的に人件費を下げるしかありません」

機械化やシステム化で生産性を上げれば、原材料費の高騰にも備えられるだろう。その原材料費についても、仕入れ価格の見直しでまだ下げられる余地はある。

「過去に値上げされ、そのままになっている商品はないでしょうか。業界の慣習で一度値上げした商品は仕入れ価格を見直しされないケースが多いようです。利益率改善のためにも、同業者間で材料について情報交換をしたり、半年に一度などのタイミングで相見積もりを取ったりすることは意外に重要です。価格交渉だけでなく、業者さんに売りたい商品をヒアリングして安く提供できる材料を提案してもらい、それに切り替えていくのもいいでしょう。これができているお店は、上手く利益を出しています」

ただ安いところに乗り換えるのではなく、他社の仕入れ価格を参考にバランスを見ながら交渉していきたい。

売るべき商品を見極める

さらに田中氏は商品ごとの労務費をしっかりと理解していることも大切と指摘する。

「商品の売価に対する原価を意識している人は多いですが、売価に対する生産効率の高低、いわゆる商品あたりの手間を把握している人は多くありません。作るのに手間がかからない商品、労務費が低い商品が売れるほど利益率は上がりますから、商品ごとの材料原価と労務費の両方を抑えましょう」

どの商品が売れるのかによって、利益は大きく変わってくる。食材原価と人件費を合わせたF/Lコスト(フードレイバーコスト)は、50~60%を目安にしたい。コストが範囲内で積極的に売るべき商品を見極めて、売り場作りやポップなどを工夫してお客様にアピールしていくことが大切になる。

「要は、売り上げの構成比で利益コントロールをしていく考え方です。たとえば多くの飲食店では、安く仕入れられた季節の材料などを『シェフのオススメ』として提供していますよね。原材料価格が高騰している中で利益を出すためには、どの商品を売るのかが非常に重要なのです」

特に製パン業界にとって、今回の輸入小麦の価格改定は大きな打撃となる。働き方改革が叫ばれる中、これまでのように人件費を下げて対応することは難しい。仕入れ価格の見直しや機械化による生産性の向上はもちろん、価格転嫁しても消費者が離れないよう、“なんとなく”で決めていた販売計画を改め、利益率が上がる商品を中心にアピールすることで売上を改善していこう。


飲食店の食材高騰対策

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